〈示談〉とは、加害者側と被害者側が話し合いによって慰謝料・損害賠償額などを合意して、そこで決められた金額を支払うことによって両者の権利・義務関係を清算することです。

示談は逮捕前から判決が出る前までの期間、相手が合意をすればいつでも支払うことができます。

刑事事件は時間が経てば経つほど事態が悪化する可能性が高いので、可能な限り早く示談をする方が良いです。

今回は、示談をすることによるメリットを時期ごとに解説していきます。
逮捕後の流れをもとに解説をしていきますので、下記のコラム・動画も併せてご覧ください。
2024年4月12日掲載コラム
→『逮捕された後の流れ

示談をすることによるメリット

例えば、“加害者が被害者を殴って怪我をさせた”という事件の場合、民事的な側面では〈加害者の被害者に対する損害賠償額〉が問題となります。一方で、刑事的な側面では〈加害者にどのような罰が課されるか〉という問題があります。

示談をすることによって、民事的な側面では、加害者の被害者に対する損害賠償額が完了するので、この問題の民事的な側面が解決するというメリットがあります。

刑事的な側面では以下のようなメリットがあります。

示談をすることによる刑事的なメリット

示談をする時期ごとに解説をします。

⑴逮捕前に示談をする場合

被害者が警察に対して被害届を提出した(しそう)という場合や、警察から任意聴取の要請があった等の事情がある場合、加害者は逮捕される危険性が生じています。

可能であれば、被害者が行動を始める前に、早めに弁護士を選任して進行方針を協議した方が良いです。

弁護士を介入させることによって、被害者に対して逃げたり反発するのではなく、真摯な姿勢を見せることができます。その上で示談交渉を進めることで、被害感情を収められる可能性が上がる傾向があります。

また、警察に対しても事件に対する真摯な姿勢を示すことができ、逃亡の可能性や罪証隠滅の可能性が低いということを示すことができます。また、示談による解決の可能性を先に示すことで逮捕されるリスクを減少させることができます。

そして示談が完了すれば、逮捕する必要性が極めて低くなりますので、逮捕を免れられる可能性が高まります。

⑵逮捕後〜起訴前に示談をする場合

検察官は、事件を起訴するか否かを検討する際、犯行態様、計画性、結果の重大性、動機、社会的な影響、加害者の年齢、前科・前歴のほか、被害者の処罰感情も考慮に入れます。

特に被害者がいる犯罪では、被害回復がされているか、被害者の処罰感情はどうなのかが重視されるので、示談によって不起訴処分の可能性が高まります。

そして、不起訴の可能性が高い案件なら、身柄拘束しておく必要性が低下するため、早期に釈放される可能氏が高くなります。

⑶起訴後〜判決前に示談をする場合

裁判官も、判決に際して⑵で挙げた事情などを考慮して判断を下します。

ですから、被害者がいる犯罪では、示談が成立していることによって、執行猶予判決の採否や、刑の減軽が認められる可能性が高くなります。

この段階で、身柄を開放させるための手続きは保釈です。保釈が認められるための条件の1つに「逃亡や罪証隠滅のおそれがないこと」があります。示談が成立しているなら、「逃亡や罪証隠滅のおそれがない」と認定されやすくなり、保釈が認められる可能性が高まります。

示談交渉は自分でもできる?

示談の交渉をしようと思っても、被害者の氏名、住所、電話番号を知らない場合、交渉することができません。加害者本人が警察や検察に問い合わせても教えてもらえない可能性が高いです。一方、弁護士であれば、捜査機関を通じて被害者の情報を得られる可能性が高いです。

また、被害者の情報を認識している場合でも、事件の当事者同士では感情的な対立もあり交渉が進まない可能性が高いです。

何より、事件の当事者の場合、刑事事件に関する総合的な知識、経験がないので、どの時期に、どのような方法で、いくらくらいの示談金額を提案すべきか分からないと思います。

以上の理由から、示談交渉は弁護士に依頼することを強くおすすめします。

示談金額の相場

示談金額は、犯罪の種類、被害の程度、類似事件の先例、加害者・被害者の経済的能力、示談の必要性の高さ、示談するまでの速さ、処罰感情の強さなど、様々な要素を考慮して決めていきます。

インターネット上に示談金の相場について度々記載がありますが、それはあくまで一例であり、すべての事件に通用するものではありません。一口に傷害・暴行事件といっても、その事件ごとに事情が異なりますので、インターネット上の情報を鵜呑みにしない方が良いです。

示談はなるべく早くするのがおすすめです

〈示談〉とは、合意した金額を支払うことによって権利・義務関係を清算することです。
刑事事件は、時間が経てば経つほど事態が悪化することが多いので、可能な限り早く示談をする方が良いです。
示談の交渉には弁護士を介入させることをおすすめします。お悩みの方は是非ご相談ください。

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