今回は、離婚時の財産分与について解説します。
まず、対象となる①〈夫婦共有財産〉を特定します。その後に、②分与割合、③分与方法を決めます。

①〈夫婦共有財産〉の特定をする

双方が管理している夫婦共有財産が、離婚に伴う財産分与の対象となります。
夫婦共有財産とは、夫婦で購入した家、家具、家財、株、夫婦で貯めている預貯金、などです。

民法762条2項「夫婦のいずれかに属するか明らかでない財産は、その共有に属するものと推測する。」という規定があるので、基本的には全てが共有財産と考えて良いです。

しかし、民法761条1項には「婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産は、その特有財産(夫婦の一方が単独で有する財産をいう。)とする。」という規定があり、この特有財産は財産分与から除外されます。この特有財産かどうかを判断するのは、なかなか難しいです。

例えば、相続によって得た財産は、夫婦共同生活とは無関係に、一方配偶者の親族関係に基づいて取得する財産なので、特有財産です。これは財産分与の対象から除外されます。
それに対して、一方配偶者の単独名義で購入して、婚姻中の収入からローンを支払続けた場合などは特有財産として評価されません。

これらの夫婦共有財産を、管理している夫婦双方が開示し、財産分与の手続きを行います。

②分与割合は、原則50:50

分与の割合は、原則として50:50の割合で分けられます。ほとんどの案件において、この割合は動きません。ただし、夫婦どちらかの稼ぎが極めて大きい場合で、その稼ぎが個人の特殊な能力等によって生じたものであると認められる場合は、割合が変わることがあります。

③分与方法は3つ

分与方法は3つあります。

(1) 現物分割:そのもの自体を分ける方法です。例えば、株式なら株式自体を譲渡する、不動産なら登記に2人の名前を登録するといった方法です。

(2) 代償分割:一方がそのもの自体を取得して、他方に対して金員を支払う方法です。例えば、不動産なら、一方が不動産全部の所有権を取得して、その代わりに他方に対して不動産価額の半額を支払います。

(3) 換価分割:売却して、売却代金を分ける方法です。

共有財産を秘密にされている場合は?

相手が共有しているかもしれない、思い当たる財産を、裁判所を介した手続きで開示できる可能性があります。詳しくは弁護士にご相談ください。

財産分与の対象となるのは、〈夫婦共有財産〉です

離婚後、財産分与の対象となるのは〈夫婦共有財産〉です。婚姻前から有する財産、婚姻中に自己の名で得た財産は特有財産となり、財産分与の対象になりません。ただし、その線引きには判断が難しい部分もあります。どうすれば最大限に利益を獲得できるのか、お困りの方は是非ご相談ください。

解説動画

下記の動画も併せてご覧ください。

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